髄膜腫

(ずいまくしゅ)


脳腫瘍の中で最も多く認められる腫瘍です(約25%程度)。頭をぶつけたり、脳ドックでの検査で偶然発見され診断される事も少なくありません。


● 髄膜腫とは?


わかりやすく簡単に說明すると

髄膜種を簡単にわかりやすく說明します。

約9割以上は良性です。

癌が転移した脳腫瘍を除くと、脳腫瘍は人口10万人に対して13〜14人に発症すると報告されています。その脳腫瘍の約26%が髄膜種です。良性の脳腫瘍の中で、最も多い腫瘍です。原因は、明らかになってはいませんが、40歳から60歳の中年女性に多く乳癌や子宮筋腫と一緒に認められる事もあり、女性ホルモンとの関連性も疑われています。頭部の放射線治療後にも認められる事があります。

染色体第22番長腕22pやRNAポリメラーゼという遺伝子の異常と関係しているなど報告されてもいますが、決定的ではありません


● 髄膜腫の治療を考えるための大切な事

髄膜種の手術の選択や適応、放射線治療についての大切な内容をわかりやすく說明します。

○ 髄膜腫のリスクとは?

髄膜種のリスクをお教えします。
     髄膜腫のリスクとは?

 

 

脳腫瘍という病名を說明されるとほとんどの患者さんが心配することでしょう。腫瘍が大きく変化していない髄膜種、MRI画像で脳の表面のくも膜に浸潤している様な所見がない髄膜種、MRI画像で脳浮腫が認められない髄膜種、血管や脳神経を巻き込む事がない髄膜種であれば、大きなリスクはないと考えて良いと思われます。

○ 髄膜腫は、大きくなる?

髄膜腫は大きくなるのか?を說明します。
          髄膜腫は大きくなるのか?

 

約5年間で髄膜種の約40%前後は、大きくなると報告されています。1年間で約2mm程度と言われています。悪性度が高い髄膜種であれば、急激に増大する場合もあります。経過観察する場合は、毎年MRI検査をする位の細かいフォローが良いと思われます。

 

 


● 髄膜腫では、どの様な症状がでるのか?

髄膜種の様々な症状を細かくわかりやすく說明します。

髄膜種の初期の症状は、めまいやふらつきの持続や目のかすみが早期に認められる事が多い。さらに、頭痛や吐き気、嘔吐(特に起床後)が認められ、頭蓋内圧亢進症状と呼ばれています。髄膜種が大きかったり、脳に浸潤していると痙攣発作が出現する事もあります。

小さい髄膜腫は、ほとんどが無症状(無症候性腫瘍)です。脳ドックなどで、偶然に髄膜腫を指摘されることもあります。しかし、髄膜腫が徐々に発育をして大きくなると、腫瘍近辺にある脳や脳神経を圧迫し始めます。ある程度の大きさになってくると、発生した部位や伸展方向により異なった様々な症状が出現します。

髄膜腫が大きくなることで、頭蓋骨中の圧が高くなり、頭痛、嘔吐、次第に視力障害から意識障害に進展する場合もあります。また、脳が腫瘍に直接圧迫されると、脳神経症状、片麻痺、歩行障害、てんかん発作等が認められます。


● 治療が必要な髄膜腫(適応)

① 症状がある 

② 症状は無いが、腫瘍の大きさに変化がある 

③ 血管や脳神経の近くにあり、大きくなると治療が難しくなると思われる 

④ 良性と明確に思われる画像所見ではない 

⑤ 3cm以上(放射線治療が3cm以内の腫瘍が基準となっているため)。


○ 髄膜種の治療方法

髄膜腫は、内服薬では治療できません。治療は、(1)手術による摘出 (2)放射線治療 になります。どちらにしても、合併症のリスクが考慮されたバランスの中で再発しない治療もしくは症状が出現しない治療を受ける事が、患者さんには重要です。


● 髄膜腫の治療について

髄膜腫の主な治療方法は、外科的手術(腫瘍摘出術)です。基本的には、外科的な腫瘍摘出を勧めています(組織診断も行えます)。摘出難度や合併症のリスクは、発生した部位や大きさ、脳への浸潤等によって異なります。治療が必要と決めるのは、手術適応(症状の有無や腫瘍の大きさの経時的変化の有無など)や自分の希望や心配する事などを脳腫瘍の治療経験の多い脳外科医に相談してからでも遅くはありません。

 

髄膜種の手術の難しさや病理検査、手術をする前に患者さんが知っておくべき大切な事を說明します。