脳動脈瘤 手術

(のうどうみゃくりゅう)


1).  脳動脈瘤とは?


もう少し詳しくすると👇


 脳動脈の一部分が膨らみ、その血管壁が弱くなり嚢状もしくは紡錘状に拡大して瘤(こぶ)のようになったものを脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)と呼んでいます。瘤(こぶ)の壁が弱くなったり、大きくなることで破裂をするとくも膜下出血になります。破裂していない状態での脳動脈瘤は正確には、未破裂脳動脈瘤と言われています。また、動脈瘤が破裂をしないでかなりの大きさまで増大すると症状を認める場合があります。症状が認められていない動脈瘤は無症候性動脈瘤と言います。統計では、成人の2~5%(100人に対して2~5人)の人に認められるとされています。くも膜下出血になると、3人中2人は死亡もしくは日常や仕事に支障のある後遺症を認めます。医療が進歩している現代でも、重い後遺症を治すことはできません。

 

破裂後の状態(軽症なのか重症になるのか?)を前もって予測することはできません。脳動脈瘤の大きさや場所、血管壁の状態、瘤(こぶ)にかかる負担など、かなり個人差があるため明確に破裂する可能性を個々の患者さんに示すことはできません。しかし、破裂に関わる傾向を探り当てていくために国や広い地域で統計がとられています。日本での脳神経外科学会が行った未破裂脳動脈瘤の全例調査(UCAS Japan)の結果では、年間出血率は0.64%/年と報告されています。未破裂脳動脈瘤を持った人の中で、くも膜下出血を起こす人は1000人中6.4人/年、瘤(こぶ)の大きさでは5mm以上の人に限定すると、100人中1.1人/年と報告されています。よって、脳動脈瘤が発見されてからの治療の緊急性は高くはないと言えますが、破裂の予測ができない事が不安の原因となるケースが多いと感じます(どのように考えたらよいかは下をお読み下さい)。

 

高血圧や喫煙、遺伝などが関連していると考えられていますが、動脈瘤の

 発生理由や原因は明らかにされていません。高血圧管理や禁煙はとても大切です。


手術時(開頭)の動脈瘤の画像

正常な動脈は、ピンク色をしています。心臓からの血液を送り込んでいるため、実際に見ると拍動しています。壁が薄くなっている部分は赤く見えます(実際に見ると、赤い部分から血液が流れているのが分かります)。⬆️の動脈瘤は、一部に赤い部分が確認できます()。この部分は、特に薄くなっているという事が分かります(破裂する可能性のある部分です)。

 

動脈瘤の壁が、動脈硬化により黄色く変色している中に、一部赤い部分が認められます。動脈瘤は、ほとんどが動脈硬化で硬くなっているのに、一部分はとても薄くなっており、破裂しやすい部分がありました。

全体的には、ピンク色して壁が正常に近い動脈瘤です。しかし、一部分だけ赤くなっており、薄くなっている事が分かります。


この様な動脈瘤の壁の状態は、手術で初めて評価できます。術前検査(CT・MRI、血管撮影)では、分かりません。しかし、画像検査はこれらを予想するために、とても大切な検査です。MRA検査で動脈瘤が小さいと言っても安心できない場合もあります。


【 動脈瘤が見つかったら 】


患者さんへの説明は、診察医(外来説明医)の考え方と専門性(手術の専門、血管内手術の専門)によって違います。年齢・既往歴・瘤(こぶ)の場所/形/大きさ等を考慮して方針を決定することになります。よく、外来で話を聞く事が大切です。


2). 脳動脈瘤の種類、好発部位


3). 動脈瘤が発見されたら……


4). 破裂する、破裂しないの予測について


5).  未破裂脳動脈瘤の自然経過に関しての報告



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