舌咽神経痛

ぜついんしんけいつう


1)  舌咽神経痛とは?



2)舌咽神経痛の原因



3)舌咽神経痛の診断


舌咽神経痛の画像、治療前後の画像変化について


4)舌咽神経痛の治療


舌咽神経痛の診断後は、基本的には内服薬にて痛みの管理を開始します。痛みに対する不安が強い場合、内服薬による副作用の出現、内服薬の量が適量を超えてしまう場合、に手術を行う事が一般的です。三叉神経痛も同様ですが、舌咽神経痛の場合は、診断後から手術を希望される患者さんが多いです。三叉神経痛(顔の痛み)は、我慢できても飲み込む時の痛み(舌咽神経痛)は、我慢できなかったり、痛みに対する不安が強いと思われます。

1)最も効果的な治療は外科手術(微小血管減圧術)

 

Microvascular transposition: MVT (またはMicrovascular decompression: MVD)という方法です。手術により舌咽神経を圧迫している血管を神経から離し、移動・固定する事により、神経の圧迫を解除して痛みの原因を取り除くという手術方法です。手術治療は原因を取り除く根本的な治療(永久的な治療)になるので、最も効果的な治療です。これは三叉神経痛や片側性顔面痙攣と同じく、神経を圧迫している血管と移動固定する治療法です。私は「鍵穴手術」を行っています。皮膚切開が小さく髪の毛を全く切りませんので治療後は、周囲の人が気づく事はありません。痛みも通常の切開によるものより軽度です。

                  → 鍵穴手術の詳しい事はコチラへ

 

皮膚の切開は、耳の後ろ下方(髪の毛のある部位)に 小さな切開のみで行います。無剃毛手術のため(髪の毛は、切らずに剃る事もしません)手術後傷が目立つ事はありません。頭蓋骨に直径2cm程度の穴を空けて、舌咽神経が脳へ入り込むまでの走行を頭蓋骨内側と脳の間の隙間から確認します。そして、舌咽神経を圧迫している血管を丁寧に剥がし血管が神経に当たらないように場所を移動させて、固定します。手術時間は1時間30分前後です。

血管の固定にはテフロンという素材を使い血管を包む細いタオルのような物を作り、血管を巻いてテフロンを他の部分に付ける(フィブリンのりという特殊なのりを使ってのり付けしてきます)という方法を行っております。これは、私の師である福島孝徳先生(DUKE大学)が、この30年の手術経験の元で確立した非常に侵襲の少なく、有効かつ安全な手術方法です。

 


安全な手術を行うには、術者の眼と知識、経験のよる判断が不可欠です。特に顔面神経だけではなく周囲の構造物、他の脳神経(特に聴神経や迷走神経)や小血管に対するへの注意と繊細な手術操作が求められます。私自身は、微小血管減圧術の手術(病院施設の症例数ではなく、個人執刀症例数)は、500例以上を経験しており、良好な結果を得ています。大学病院の中には、年間の施設症例数が10例も満たない施設もありますので、脳外科医個人としての経験数としては、かなりの数になります(後日に詳細を追加します)熟練した世界的脳外科医である福島孝徳先生より解剖も含め臨床の場で最初にご教授頂いた手術法です。手術は、技術だけではなくお教え頂く師匠の知識や経験を取り入れながら、自分の知識や経験、知恵とする事が手術を主とする脳外科医には、とても重要だと実感した手術の一つです。


().  お薬による治療方法もあります。カルバマゼピン(商品名テグレトール®)という主にてんかんの治療薬での内服で効果があります。痛みが完全に消失できなくでも緩和させる事が可能です(痛みが軽度~中等度の場合)。しかし、薬の副作用(肝機能障害・めまい・ふらつき、重症になると全身の臓器の機能が悪くなるStevens-Johnson 症候群があります)、痛みの増悪に伴う薬の増量に限界が生じた場合は、内服治療の継続はできません