1). 類表皮嚢胞/類表皮腫 

2). 類皮嚢胞/類皮腫 


類表皮嚢胞/類表皮腫(Epidermoid cyst/Epidermoid)類皮嚢胞/類皮腫(Dermoid cyst/Dermoid)は、名前は似ていますが全く違います。この病名を聞いたら、再度病名を医師に確認する必要があります。


類表皮嚢胞/類表皮腫 

            Epidermoid cyst/Epidermoid

母親の胎内で、いろいろな細胞が集まり発達して器官(臓器)となった後に、なくなるはずの細胞の集まりが、時々残ってしまう事があります。それを胎生期遺残組織といいます。患者さんが、御母上のお腹の中で命を授かってから体が形成させるまでの過程で原因が生じています。表皮(毛などの皮膚附属器は含まない)に由来するこれから発生する非腫瘍性の嚢胞性病変です(嚢胞および腫瘍類似病変と言います)。


頭蓋内の何処にでもできます。特に多い場所は、小脳橋角部という耳の位置に近い後頭蓋窩内です。嚢胞(袋状)でケラチンという内容物を含みます(白くて真珠のような光沢をもちます)。また、コレステリンという細胞分解物を豊富に含んでいます。扁平上皮という袋に包まれています。


症状


すでに症状が認めらてれたり、診断後の経過で増大傾向を認めた場合は手術の適応になります。また、リスクの低い手術が予測されるような場合にも治療を勧める事があります。

手術は、被膜内容物の摘出と被膜摘出になります。全摘出できずに被膜が残ると、再発のリスクがあります。手術には、術中部位や所見に応じての注意点や摘出判断が大切になります(ポイントとコツがあります)。特に、小脳橋角部や脳幹部付近に発生した病変では、大きな合併症が出現するリスクがあるので、術前によく担当医から話を聞きましょう。悪性変化(扁平上皮癌)の報告がありますが、かなり稀です。

 

 

 

 

実際に、手術を行った術中写真です。脳と頭蓋骨の間に腫瘍(△)が認められます。全てが上の写真の様に、真珠の様に光沢のある物ばかりではありません。

 

 

 

この患者さんは、腫瘍(△)の中に血管(動脈;赤矢印)が走行しているのが分かります。さらに摘出していくと、もっと細い血管が走行しています。これらの血管損傷は、脳梗塞の原因となります。また、損傷下血管の処置をきちんと行わないと、術後に脳出血となる可能性もあります。腫瘍血管と正常血管の判断も必要です。

この患者さんでは、腫瘍(△)の中に血管だけではなく、脳神経が走行しています。さらに腫瘍により圧迫を受けていました。この様な脳神経を摘出の際に損傷すると、顔面の麻痺や感覚障害、複視、嚥下障害などの脳神経障害を認めてしまう事になります。


類皮腫/類皮嚢胞

 Dermoid cyst/Dermoid


類表皮嚢胞・類表皮腫とは異なり、皮膚および皮膚附属器(毛嚢・汗腺・皮脂腺)よりなる非腫瘍性の嚢胞性病変です(嚢胞および腫瘍類似病変)。かなり稀な腫瘍で、子供に多いと報告されている疾患です。

 

 

 

 

 

皮膚成分と腫瘍被膜(腫瘍の袋)に皮膚の付属器(脂腺、汗腺、毛包など)が認められます。中には、脂肪や伸びた毛髪が認められます。


ほとんどが、耳の奥にある後頭蓋窩にできます。症状は、類表皮腫と似ていますが、嚢胞の破裂による痙攣発作(けいれんほっさ)や髄膜炎が比較的多いです。手術で見えにくい部位にできる事が多く、腫瘍境界部の癒着等も強い場合があるので、全摘出は必ずしも簡単ではありません。かなり稀ですが、悪性化されたとの報告があります。