脳腫瘍の手術に伴う合併症(1)

脳腫瘍の条件によってリスクに合わせた手術が必要となります。


1.脳外科手術による全般的な合併症

1)損傷、感染、未病

脳腫瘍は、頭蓋内の色々な部位にできるため、その周辺の構造物を深さにより合併症の出現する可能性が大きく変わります。2),1),3) が、特に頻度は高くなります。


2)症状;影響を受けた脳の機能部位により異なる

これらの症状は、手術による一時的なものや軽症でリハビリテーション治療で回復するものも含まれます。重度の場合は、薬物治療やリハビリテーション治療を行っても治らないものや治っても完全ではなく後遺するものがあります。手術中の損傷や障害の程度によります。


2.合併症の原因;治療する側

1)執刀する医師や施設の手術室環境

 執刀医の技術や術中の判断が熟練していない。

 施設に最新の医療機器がそろっていない

 

→ 手術顕微鏡用の機器類

→ 合併症予防に必要なモニター

 (術中ナビ、電気生理学的検査類)

→ 神経内視鏡

 


 * 脳腫瘍の場合は、上記全てが必要となります。

2)腫瘍の特徴的な性状と性格による

 浸潤性腫瘍と非浸潤性腫瘍

 腫瘍血管の発達

③ 腫瘍と周囲構造物(脳、血管、脳神経)との癒着

④ 手術操作できるスペースが狭い(見にくい、手術器具が使いにくい)

  → 頭蓋底腫瘍、後頭蓋窩腫瘍

- 手術のやり方が違う -

悪性腫瘍()は、命に関わるため、腫瘍の全摘出が必要となる。腫瘍と腫瘍が入り込んでいる脳組織も摘出するため合併症はやむを得ないと言えます。(→ 手術前よりも症状が悪化する可能性あり)脳外科領域では、神経膠腫や転移性脳腫瘍、良性腫瘍からの悪性転化などがあります。良性腫瘍は、腫瘍周囲の構造物(脳、脳神経、血管)を損傷せず、腫瘍のみ摘出する。合併症を回避するためには、狭い場所から腫瘍摘出をするための見やすさ・見る方向を考えた開頭やアプローチ法、安全に摘出するための道具(医療機器)・それらを扱う技術・総合的に判断するための経験とそれによる手術方法の選択が重要となります。